英語の勉強、何度挫折したか覚えていません。参考書は3日で飽き、ニュース英語は内容に興味が持てない。Netflixのドラマはストーリーに付いていけずに日本語字幕つけちゃう。そんな私が、これだけは続けられている方法が、ミュージカル曲のシャドーイングです。
使うアプリ、曲選びのコツ、つまずきやすいポイントまで、今日からそのまま真似してもらえるように紹介していきます。
そもそもシャドーイングって?
シャドーイングとは流れてくる英語の音声を、影(シャドウ)のように1〜2拍遅れで追いかけて発音するトレーニングです。リスニング・発音・リズム感・アウトプットの瞬発力に同時に効くので、英語学習の世界では昔から長く支持されてきました。
私は以前、プログリットというパーソナルコーチング英語スクールに60万円ほど払って通っていたことがあるのですが、毎日もっとも時間を割くよう推奨されたのがシャドーイングです。コーチからは「1日1時間は確保してください」と毎週念を押されていました。レッスン期間の前後でテストを受験したのですが、なるほど確かにリスニング力がメキメキ上がっていました。
ただ、正直に言うと教材音声でのシャドーイングは、モチベーションを保つのがまあ〜しんどい。スクールに通ってる間はそりゃコーチが褒めてくれるのでいいんですが、日常でジョブズのスピーチを完コピしようというモチベはなかなか湧かない(ですよね??)
卒業したあと、これをなんとか続ける方法はないかと探して行き着いたのが、「好きなミュージカル曲でやる」方法です。
なぜミュージカル曲のシャドーイングが英語学習にいいのか
ひとことで言うと、ミュージカル曲は「飽きずに同じフレーズを浴び続けられる教材」です。これが、英語学習で一番むずかしい部分を勝手にクリアしてくれます。
同じフレーズを何十回聞いても飽きない
シャドーイングが伸びる人と続かない人の差は、結局のところ「同じ音を何百回浴びたか」に集約されるのですが、教材の音声を50回聞き返すのは、正直しんどいです。
その点、好きな曲なら違います。私は気に入っている曲を1日に20回も30回も無意識でリピートしてしまいます。「勉強で50回聞こう」と意識せずに、勝手に50回浴びられる。シャドーイングの最大のコストを、曲の中毒性が無料で肩代わりしてくれるイメージです。
歌詞が「ちゃんとした文章」なので、文法ごと拾える
「なら普通に英語の歌で良くないか?」と思った人もいるかもしれません。それがそうとも限らないのです。
ポップスの歌詞は、メロディが主役です。文法より語呂、意味より響き。サビが「Oh baby oh baby oh baby baby I」みたいに、単語や感嘆詞の繰り返しになっていることもよくあります。シャドーイングの教材として使ってみると、意外と拾える文型が少ないことも。
一方でミュージカル曲は、「ストーリーを推進する」という役割を背負っています。歌のあいだに登場人物の感情が動き、場面が変わり、決断が下されるので、歌詞はメロディ優先で組まれたポップスよりは、必然的にきちんとした文章になることが多いです。絶対ではないですけど…
「勉強」じゃなくて「推しの曲を覚える」になる
たぶん一番大きい要因です。続かない学習を続かせるコツは、「根性論にしないこと」「勉強だと思わないこと」だと、私は思っています。
ミュージカル曲のシャドーイングは、傍からみれば「好きな曲をひたすら歌ってる」ようにしか見えないと思います。机に向かわなくていい、ノートも要らない、達成感は曲を歌い切れたかどうかで自分で測れます。
あと個人的には、マスターした曲をカラオケで歌えるという副産物がついてくるのが良きです。発音を完コピした曲を大音量で歌うとすこぶる気持ちがいいですし、披露するとちょっとドヤれる(こともある)。あまりにマイナーな曲だとデンモクに載ってないので、そこは要注意ですが…
私がたどり着いたやり方:Audipo×ミュージカル曲
好きな曲をApple Musicで購入して、あとはAudipoという無料アプリがあれば、基本的にあとは何もいりません。
Audipoとは
ひとことで言うと、「音楽プレイヤーに、英語学習に必要な機能だけ盛った」アプリです。具体的にはこんなことができます。
- 任意の区間(A点〜B点)を指定して、その部分だけリピート再生できる
- 0.25倍速〜4倍速まで、音程は変えずに再生スピードを変えられる
- マークを複数置けるので、曲の中の「ここが難しい」をいくつも残せる
これだけ書くとシンプルですが、シャドーイングをやる側からすると、欲しい機能が全部入っています。私は何年もこれを使っていて、ほかに乗り換えようと思ったことが一度もありません。
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ステップ1:好きなミュージカル曲の音源を入れる
最初にやることは、好きな曲を1曲、Audipoに読み込ませることです。Audipoの「曲選択」をタップすると手元の音楽ライブラリから取り込めるようになります。アルバム、曲を選んだらさっそく準備は終わりです。

ステップ2:歌詞(lyrics)を別タブで開いておく
Audipoとは別に、スマホかタブレットで歌詞を開いておきます。検索ワードは「曲名 lyrics」が一番ヒットします。和訳ではなく、まず英語のままの歌詞を見られる状態にしておくのが大事です。
和訳は後で読みます。先に和訳を見ると、頭が日本語の意味に引っ張られて、英語のリズムが入ってこないからです。英語の歌詞を見ながら音を聴いて、わからない単語があとから気になったら和訳を引くという順がおすすめです。
ステップ3:1フレーズずつA-Bリピートで囲む
ここからAudipoの本領発揮です。曲の中の1フレーズだけをA-Bリピートでぐるぐる回し、実際にシャドーイングをやってみましょう。
曲の再生中または停止中に、下記の画像の①「▼+」マークを押すと、ループの印(マーク)をつけられます。2か所以上にマークをつけてみましょう。
画像の②の区間ループ機能をONにします。その状態で③再生を押すと、マークが付けられているループの間で何回も再生されます。

最初は1フレーズ、長くて1センテンスがちょうどいい単位です。長すぎると口が回らないし、短すぎると意味が取れません。1行ずつ進めば、必ず終わります。
ステップ4:0.75倍速で聞き取る、0.9倍速で歌う、等速で歌う
ここが伸び方の核心です。同じ1フレーズを、3つの速度で順番に攻めます。
まず0.75倍速で、何を言っているかを正確に聞き取る。次に0.9倍速で、口を動かして一緒に歌う。最後に等速で、本物のスピードについていく。この3段階を踏むと、最初は絶対についていけなかったフレーズが、5分後にはちゃんと歌えるようになります。シャドーイングの面白いところです。
ポイントはいきなり等速で挑まないことです。

ステップ5:マークを次のフレーズに移して進める
1フレーズが歌えるようになったら、A-Bを次の1フレーズにずらします。これを繰り返して、1曲のサビだけ歌えるようになったら、その日はもう終わりです。
1日30分やる必要はありません。10分でも、5分でも。むしろ、毎日少しずつのほうが伸びます。

初心者におすすめのミュージカル(英語の易しさ順)
曲によっては、向き不向きがあります。ここでは現実的な選び方を書きます。
最初に大事なことを言うと、英語の易しさはもちろん大事ですが、結局いちばん伸びるのは「本気で好きになれる作品」です。これから紹介する作品の中から、できれば「これ好きかも」と感じたものを選んでみてください。
早口の曲は、初心者向けではありません。ラップ調の曲、たたみかけ系の曲は、口がついていかなくて心が折れます。あと1曲仕上げるのにめっちゃ時間がかかるので、手っ取り早く達成感を味わうためにも最初は避けたほうがいいです。ハミルトンはカッコいいけど後回しにしましょう。
入門の王道:ディズニープリンセス系
英語学習の最初の1曲なら、迷ったらディズニーです。発音がクリアで、歌詞がシンプルで、メロディに英語のリズムがきれいに乗っています。
- 『アナと雪の女王(Frozen)』の「Let It Go」とか
- 『リトル・マーメイド(The Little Mermaid)』の「Part of Your World」
- 『モアナと伝説の海(Moana)』の「How Far I’ll Go」
どれも、英語学習の入口として鉄板です。1曲歌えるようになったときの達成感も大きい。カラオケにも絶対ある。配信はDisney+で観られます(2026年5月時点)。
一歩進んで:ラプンツェルと美女と野獣
次はこの2作品をおすすめします。
- 『塔の上のラプンツェル(Tangled)』の「When Will My Life Begin」「I See the Light」
- 『美女と野獣(Beauty and the Beast)』の表題曲「Beauty and the Beast」
ラプンツェルは2010年の作品で、英語が現代的でとても聞き取りやすい。美女と野獣の表題曲は、テンポがゆっくりで、メロディもなめらかで、シャドーイングがしやすい1曲です。こちらもDisney+で配信中です(2026年5月時点)。
私が本当に使った2本:マンマ・ミーア!とヘアスプレー
ここから先はディズニーを超えたい人向け、というか、私が実際にいちばん歌い込んだ2本です。
『マンマ・ミーア!(Mamma Mia!)』の2008年映画版は、英語学習の隠れた名作です。劇中曲はすべてABBAの楽曲ですが、ABBAの英語は驚くほどシンプルでわかりやすい。スウェーデン人のグループだからか、スラング感が薄くて、教科書的なきれいな英語で歌詞が書かれています。「Dancing Queen」が歌えるようになると、本当に何でも歌える気がしてきます。
マンマ・ミーア!はAmazon Prime Videoで配信中です(2026年5月時点)。

もうひとつのおすすめは、『ヘアスプレー(Hairspray)』の2007年映画版です。1960年代のアメリカが舞台で、楽曲もポップでテンポがいい。語彙はそれほど難しくなく、歌うと元気が出る曲ばかり。観終わったあとに自己肯定感が上がるストーリーで、英語学習を続けるための燃料としても優秀です。同じくAmazon Prime Videoで配信中(2026年5月時点)。作品そのものの紹介は、別記事に詳しく書きました。


配信は何で観るのが一番無駄がないか
ここまで来た人は、どの配信に入ろうか迷っているはずです。シンプルに整理します。
Disney+
ディズニープリンセス系、ラプンツェル、美女と野獣など、ディズニー作品はほぼすべて揃っています。月額料金で見放題。「ディズニーで英語学習を始める」と決めた人は、これ一本でしばらく走れます。

Amazon Prime Video
『マンマ・ミーア!』『ヘアスプレー』など、ディズニー以外の名作実写ミュージカルがあります。Amazon Prime会員ならついてくるので、すでに会員の人は追加コストゼロで始められるのが大きいです。
どっちを選ぶか
迷ったら、まずすでに入っているほうから始めるのが正解です。配信は契約してから観るまでのハードルが意外と高くて、「入ったから観なきゃ」のプレッシャーで嫌になる人を、私は何人も見てきました。
すでにAmazon Prime会員なら、まずは『マンマ・ミーア!』で始める。Disney+に入っているなら、まずは「Let It Go」から始める。どちらにも入っていないなら、ディズニーが好きならDisney+、洋楽が好きならAmazon Prime Videoが、入り口として自然です。
両方契約する必要は、最初はありません。1曲を歌えるようになってから、次の作品が欲しくなったときに、もう片方を考えればいいと思います。
続けるためのコツ
伸びる人と挫折する人の差は、才能ではなく、続け方です。私が試行錯誤の末に落ち着いたコツを、3つだけ残しておきます。
1日1フレーズでいい。曲は変えない
これがいちばん大事です。続かない人の多くは「1日30分やろう」と決めてしまいます。30分の予定が組めない日が3日続くと、そのまま消えていきます。
1日1フレーズなら、5分で終わります。歯を磨きながらでも、夜寝る前のベッドの中でもできる。そして、曲を頻繁に変えないこと。1曲をしゃぶり尽くす期間が長いほど、定着率は上がります。
完璧に発音しようとしない
英語の発音は、完璧を目指すと一生終わりません。ミュージカルは特に、強弱のリズムが命です。子音と母音の細かい音より、「ここに強く息を吐く」「ここはほぼ無音で流す」のリズムを真似するほうが、はるかに英語っぽく聞こえます。
完璧主義は、シャドーイングの最大の敵です。歌詞を完璧に発音できる日まで進まない、という人は、たいてい1曲目から動けなくなります。
スコアより、歌えるようになった曲数を数える
TOEICのスコアは、毎月測れるものではありません。だから、もっと小さい単位で達成感を作るのがおすすめです。
私は「歌えるようになった曲」をリストにしています。1曲ずつ増えていく感覚は思った以上に楽しいものです。3曲歌えるようになる頃には、自分の英語の口の動きが、明らかに変わっていることに気づきます。
まとめ:今日できる3ステップ
ここまで読んでくれた人に、今日から始められる3つのアクションだけを残します。
- Audipoをスマホに入れる(無料)
- 配信サービスに登録する(Disney+ または Amazon Prime Video)
- 1曲だけ、好きなミュージカル曲を選ぶ
これだけで、今日から英語学習が始められます。3日続けば、たぶん1か月続きます。1か月続けば、たぶん1年続きます。
迷っているなら、まずは「Let It Go」を選んで、サビだけ歌ってみてください。1曲歌えるようになったときの景色は、ちょっと忘れられないですよ!!
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